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遺産相続
遺産相続の流れ 〜 自分でやる
遺産相続の手続きは、ある程度、自分でもできる。特に、金融機関の手続や遺産分割協議書の作成なんかは、外注せずに自分達で行うべきだろう。被相続人を知るいい機会でもあるし、自分でやればその分、相続手続経費が安くなる。特に、遺産分割協議書を外注すると一財産消滅するから覚悟しよう。不動産の相続登記に関しては、司法書士に頼むのもいい。恐らく、単に相続するってことはないだろうから、素人じゃ面倒くさいね。
更新情報
- 2011-12-10
- 初版
- 2013-09-07
- 文法的誤りの修正、本文内容に変更は無し。
- 2013-11-17
- 文法的誤りの修正、本文内容に変更は無し。
1. 相続人を確定させる。
被相続人の死亡届や葬儀が終わり、ひと段落したらまずやること。
- 被相続人に遺言書があるかないかを調べる。
- 法定相続人が誰なのかを調べる。
被相続人に遺言書があれば、それが元となって遺産相続は進められていく、のが通常みたい。遺言書がない場合、法定相続人が誰なのかを調べる必要がある。
- 配偶者
-
戸籍上の配偶者は常に相続人。内縁関係、同居人には法律的相続権はない。
- 第一順位
-
直系卑属 (ちょっけいひぞく)
配偶者と共に第一順位。子供、或いは孫が対象。認知のある内縁関係の子供、養子にも相続権はある。また、代襲 (だいしゅう) 相続が認められている。
- 第二順位
-
直系尊属 (ちょっけいそんぞく)
子供・孫がいない場合、父母・祖父母が配偶者と共に相続権を持つ。
- 第三順位
-
傍系血族 (ぼうけいけつぞく)
子や孫、父母・祖父母がいない場合、兄弟姉妹が相続権を持つ。代襲は一代限り (死亡した者から見て甥、姪まで) 認められる。つまり、兄弟姉妹がすでに他界し、甥・姪も他界している場合、その甥・姪に子供がいても、それらの子供に代襲相続は行われない。
※相続分については、法改正が予定されている為、最新の情報を確認する必要がある。
相続人が誰になってくるかは、被相続人の環境によって変わってくることになる。この相続関係を確定するには、いろんな書類を集めることになる。
- 被相続人の原戸籍謄本や除籍謄本取得。
- 本籍地が多数ある場合は、その管轄の市町村役場に出向く必要がある。
謄本の取得は、基本的に全部の本籍地に出向いて取得する。例えば、本籍地が昔は九州にあり、今は北海道にある場合、どちらの謄本も取得する必要がある。つまり、生まれてから相続が発生するまでの空白の無い連続した記録が必要になってくる。謄本取得が遠方の場合、役所によっては郵送で取得することも可能なので、電話で役所に問い合わせてみることをお勧めする。
(注) 抄本ではなく謄本を取得する。
被相続人の戸籍謄本により、法定相続人を確定する事ができる。謄本は時代が古ければ古いほど読解に苦労する事になるので、じっくりと、間違いの無い様に確認することが必要だ。
2. 相続関係図を作成する。
相続人確定の書類集めが終わったら、その戸籍謄本などを元に、相続関係図を作成することになる。これは、相続人が誰なんだかを第三者に対して理解しやすく示す為に必要となる書類。
- 遺産分割協議での参考書類。
- 銀行預貯金解約時の提示書類。
- 相続登記時の添付書類。
銀行等の金融機関では独自の書式を持ってるトコもあるが、基本的に定められた書式はない。必要なのは、被相続人から見た相続人との関係が示されていればいいわけだ。例えば、第一順位で相続関係を示す事が可能であればそれだけを記載すればいい。第三順位が相続人だとすれば、第一順位、第二順位も同時に記載し、なぜ第三順位なのかを示せばいい。
雛形としては、金融関係の書式をそのまま使用するという手がある。又は、法務省のwebサイトでも相続関係図の例を確認することができる。独自に作成するのであれば、表計算ソフトを用いるのが手っ取り早いと考える。
3. 財産目録を作成する。
財産目録とは、被相続人が残した遺産を調べてまとめたもののこと。財産は大きく分けて2つあり、1つはプラスの財産、もう1つはマイナスの財産だ。
- 正の財産
- 預貯金や株券、不動産、宝石や骨董類など。
- 負の財産
- ずばり借金。ローン返済なんかも含まれる。
プラスの財産は誰もが調べたがるもんだが、それより大事なのはマイナスの財産を全て把握することだ。例えば単純相続した場合、プラスの財産よりマイナスの財産が大きかったとする。したらこのマイナス分は相続人が処理しなきゃなんないわけだ。もしプラスの財産が100万円あって、借金 (マイナスの財産) が1000万円あったとすれば、900万円を相続人が処理しなきゃなんないわけ。たまったもんじゃないよね。
財産目録は、遺産分割協議の中で被相続人の財産を提示する上での資料になる。財産は何があって、負債はどの位あるのかがはっきりする。後で、相続人間で言った言わない論争となる前に、書類はしっかり作成し残すべきだ。
作成する期限は特に決まりはないようだが、「相続放棄と限定相続の手続きは、被相続人の死亡を知ってから3ヶ月以内にしなければならない (第九百十五条)」、となってる。ということは、これに間に合うように財産を把握する必要がある、とも言える。もし何も手続きしないで3ヶ月が過ぎると、単純相続された形になる。
定められた書式は無いので、こんな感じでいい。
財産目録
作成日:2009-11-17現在
1.資産の部
番号 | 所在地 | 地番 | 地目 | 面積 | 備考 |
1 | 埼玉県○○○ | 1129番 | 居住 | 230.29平米 | 23029号室 評価額 230,290,000円 |
※上記内容を証明する資料として、不動産登記簿謄本を添付する。
番号 | 品目 | 単位 | 数量 (金額) | 管理 | 備考 |
1 | 兄さんお肉銀行 普通口座 23029-2929 | - | 23,029円 | 相続人代表 | 取引凍結 |
2 | 兄さん野菜銀行 普通口座 23831-831 | - | 23,831円 | 相続人代表 | 取引凍結 |
※上記内容を証明する資料として、貯金通帳の写し、又は残高証明書を添付する。
2.負債の部
番号 | 品目 | 支払先 | 数量 (金額) | 備考 |
1 | 焼肉飲食代金未払分 | 兄さんお肉苑 | 23,029円 | 請求書受理 |
2 | PC購入代金未払分 | やまだデンキ | 88,888円 | 請求書受理 |
※上記内容を証明する資料として、請求書、領収書等を保管する。
以下余白
4. 遺産分割協議を開く。
必要な書類等が用意できたら、今度は相続の中心でもある、そんじゃこの遺産はどうやって相続人で分けましょうか、てな話し合いを行う。所謂、遺産分割協議である。
最低限でも必要な資料
- 相続人個々の謄本類。
- 財産目録とそれを証明する為の資料、現物。
- 遺産分割案を多数用意しておく。
相続人個々の謄本類だが、金融機関等の相続手続においては、出生から相続が発生した時点 (現在) までの謄本類全てが必要になる時がある。又、相続人の謄本類を取得した事で、暫定的だった相続関係図を完成する事ができる。
遺産分割協議の主は、遺産の分割である。法律では法定相続分が決められているが、絶対ではない。
- 相続分は、共同相続人による協議で決定できる。
- 相続分を放棄することもできる。
遺産分割協議を和やかに終わらせたい、などの理由から、弁護士やら○○士を第三者的に出席させたりするケースがあるが、よっぽどの事が無い限り、そういった無駄な出費は避けるべきだろう。もし、協議が不調に終わるのであれば、家庭裁判所に調停してもらえばいい。この場合、出費はあるが、第三者に支払う金額と桁が違う (家裁の方が安い) 。
- 遺産分割協議に弁護士なんか呼ぶ必要はない。
- 調停は家庭裁判所に申立てればいい。
- 最悪は、家庭裁判所で審判してもらえば決着する。
5. 必要経費を調達する。
被相続人が残した財産 (遺産) は、銀行とかの預貯金だとその死亡が確認されると口座は凍結されてお金は引き出せなくなる。でも、相続手続きを進める中で、色々と金がかかるのが現実。これをどうするか、という問題だ。
預貯金の額が大きい場合、金融機関のほとんどが遺産分割協議書の提示と、独自の書類への署名・押印 (相続人全員) を求めてくる。従って、この時点では協議書を作成できてないし、協議は成立していないから、大金を解約することは不可能だ。
ところが、取引残高参照をしてみたらそんな大金でもない、といった時はちょっと違ってくる。金融機関側は、ある程度の条件を満たせば解約に応じてくれるんだよね。
- 取引残高は大金ではない (基準は金融によって異なる、みたい) 。
- すでに相続人代表を選出して、相続手続きを委任 (委任状) している。
- 相続人代表口座を開設している。
- 取引口座の通帳 (被相続人名義) を所持している。
- 被相続人の原戸籍・除籍謄本が用意してある。
- 相続人代表 (お金を引き出す人) の戸籍謄本、印鑑証明書が用意してある。
この条件に合えば、謄本類と口座の通帳、これを持って銀行の窓口に顔を出す。窓口で出される書類に必要事項を記入すれば、後はさっさと処理してくれ、被相続人取引口座は解約され、預貯金を受け取れる。 確実にする為には、何度か銀行に出向き必要な手続内容を教えて頂けばいいだろう。
ここで解約された預貯金は、相続が発生した時点で共同相続人の財産であるから、これを必要経費用として扱えばいい。
6. 遺産分割協議書を作成する。
遺産分割協議がめでたく合意した暁には、遺産分割協議書を作成することになる。
- 遺産分割が共同相続人の間で合意された証明となる。
- 多くの金融機関が提示を求める。
- 相続登記の添付書類として必要。
遺産分割協議書は、主に金融機関と相続登記で提示することになる。提示する協議書は、それぞれ違った内容にすることをお奨めする。つまり、複数作成するということ。
- 金融機関Aに提示する内容だけ、を記載した遺産分割協議書を1部作成する。
- 金融機関Bに提示する内容だけ、を記載した遺産分割協議書を1部作成する。
- 相続登記に必要な内容だけ、を記載した遺産分割協議書を1部作成する。
- 全て、を記載した遺産分割協議書を、相続人の数+αだけ作成する。
提示する相手が何を必要とするのかを考慮し、必要な項目だけを記載する。例えば相続登記をする場合、「誰が何を相続登記するのか、という内容だけが必要」で、それ以外の金銭や物品の相続に関する内容は不要だ。又、なぜこの相続人が相続登記するのか、という説明記載も全く必要ない。こうすることで、被相続人と共同相続人のプライバシーの漏洩は必要最小限に抑えられる。
そして、相続人が各自保管する遺産分割協議書は、相続する内容にプラスして、協議での合意内容やその経緯等も記載する。つまり、遺産分割協議全ての内容が分かる協議書を作成するわけだ。
どの遺産分割協議書にも、相続人全員から署名・押印してもらう。何かあった時には、この遺産分割協議書が法的にも一番役立つ書類となるはずだ。
注意したいのは、金融機関や相続登記用の遺産分割協議書に記載された「誰が何を」、という内容と、相続人保管用の遺産分割協議書に記載された「誰が何を」、という内容が異なってはいけない点。金融機関A用には、「ダニエルは\23,029-相続する」、と記載してあるのに、相続人各自保管用には、「ダニエルは金融機関Aの財産の内、\88-を相続する」、となってる場合。これは嘘が書かれているということになる。
下記の例では、金融機関の預貯金はA、B共に相続人代表が一時的に全て受領。相続登記においては、金融系相続の内容は不要なので記載していない。
▼金融機関A用
遺産分割協議書
- 被相続人
- ○○○○
- 最後の住所
- 埼玉県○○一丁目○番○号
- 最後の本籍
- 京都府○○一丁目○番地
- 生年月日
- 昭和○○年○月○日
- 死亡年月日
- 昭和○○年○月○日
平成22年1月1日被相続人「○○○○」の死亡により開始した相続において、相続財産を共同相続人間で分割協議した結果、下記の通り異議なく協議成立した。
記
第1条 相続人代表 ダニエル が一時的に受領する財産。
- 次の預貯金
兄さんお肉銀行 普通口座 23029-2929 \23,029-
利息その他、受け取る金銭がある時は、それも含む。
上記の協議を証するため、本協議書を2通作成し、それぞれに署名、押印し、各自1通を保有するものとする。
平成22年1月1日
- 相続人住所
- 金星
- 相続人氏名
- ダニエル 実印
- 相続人住所
- キュールン
- 相続人氏名
- へロット 実印
▼金融機関B用
遺産分割協議書
- 被相続人
- ○○○○
- 最後の住所
- 埼玉県○○一丁目○番○号
- 最後の本籍
- 京都府○○一丁目○番地
- 生年月日
- 昭和○○年○月○日
- 死亡年月日
- 昭和○○年○月○日
平成22年1月1日被相続人「○○○○」の死亡により開始した相続において、相続財産を共同相続人間で分割協議した結果、下記の通り異議なく協議成立した。
記
第1条 相続人代表 ダニエル が一時的に受領する財産。
- 次の預貯金
兄さん野菜銀行 普通口座 23831-831 \23,831-
利息その他、受け取る金銭がある時は、それも含む。
上記の協議を証するため、本協議書を2通作成し、それぞれに署名、押印し、各自1通を保有するものとする。
平成22年1月1日
- 相続人住所
- 金星
- 相続人氏名
- ダニエル 実印
- 相続人住所
- キュールン
- 相続人氏名
- へロット 実印
▼相続登記用
遺産分割協議書
- 被相続人
- ○○○○
- 最後の住所
- 埼玉県○○一丁目○番○号
- 最後の本籍
- 京都府○○一丁目○番地
- 生年月日
- 昭和○○年○月○日
- 死亡年月日
- 昭和○○年○月○日
平成22年1月1日被相続人「○○○○」の死亡により開始した相続において、相続財産を共同相続人間で分割協議した結果、下記の通り異議なく協議成立した。
記
第1条 相続人 ダニエル が相続する財産。
(※内容については、管轄法務局で全部事項証明書を取得し、記載する。)
1.次の不動産
- 一棟の建物の表示
- 所在 -
- 建物の名称 -
- 専有部分の建物の表示
- 不動産番号 -
- 家屋番号 -
- 建物の名称 -
- 種類 -
- 構造 -
- 床面積 -
- 敷地権の表示
- 土地の符号 -
- 所在及び地番-
- 地目-
- 地積-
- 敷地権の種類-
- 敷地権の割合-
- 土地の符号-
- 所在及び地番-
- 地目-
- 地積-
- 敷地の種類-
- 敷地の割合-
上記の協議を証するため、本協議書を2通作成し、それぞれに署名、押印し、各自1通を保有するものとする。
平成22年1月1日
- 相続人住所
- 金星
- 相続人氏名
- ダニエル 実印
- 相続人住所
- キュールン
- 相続人氏名
- へロット 実印
▼全てを記載した協議書
遺産分割協議書
- 被相続人
- ○○○○
- 最後の住所
- 埼玉県○○一丁目○番○号
- 最後の本籍
- 京都府○○一丁目○番地
- 生年月日
- 昭和○○年○月○日
- 死亡年月日
- 昭和○○年○月○日
平成22年1月1日被相続人「○○○○」の死亡により開始した相続において、相続財産を共同相続人間で分割協議した結果、下記の通り異議なく協議成立した。
記
第1条 相続人 ダニエル が相続する財産。
- 相続人代表 ダニエルが一時的に受領した次の預貯金
兄さんお肉銀行 普通口座 23029-2929 \23,029-
利息その他、受け取る金銭がある時は、それも含む。 - 次の不動産
(※相続登記用協議書の内容をここに記載する)
第2条 相続人 へロット が相続する財産。
- 相続人代表 ダニエルが一時的に受領した次の預貯金
兄さん野菜銀行 普通口座 23831-831 \23,831-
利息その他、受け取る金銭がある時は、それも含む。
上記の協議を証するため、本協議書を2通作成し、それぞれに署名、押印し、各自1通を保有するものとする。
平成22年1月1日
- 相続人住所
- 金星
- 相続人氏名
- ダニエル 実印
- 相続人住所
- キュールン
- 相続人氏名
- へロット 実印
上記の例は相続人が2人の時のもので、用紙が1枚で足りた時のもの。分割する遺産が多い時は、間違いの無い様に続けて記載すればいいし、分割する相続人が多ければ、同様に続けて署名・押印記載していけばいい。
用紙は大体がA4サイズで縦書きみたい。1枚におさまれば上の通りで問題ないが、複数枚になった時は割印 (押印) する必要がある。やり方は、1枚目と2枚目にまたがって相続人全員が押印する。ところがこれじゃ相続人の人数が多かったり、ページが多かったりするとかなりの重労働になる。そんな時は製本テープで遺産分割協議書をまとめちゃって、裏表紙と製本テープにまたがるように各自が押印すればOK、みたい。
印 | |||
製 | |||
本 | |||
裏表紙 | 印 | テ | |
| | |||
プ | |||
印 | |||
相続人が2人の場合は、その2人が押印し、3人の場合は、その3人が押印する。こうすることで、もしこの書類の中身を差し替えようとしても、まずは製本テープを剥がすことで書類は破けるだろうし、再度製本し直したとしても割印は合致しないだろね。そうなると、それは誰にも認めてもらえない文書となるわけだ。
押印するハンコだが、これは相続人各自が印鑑登録したハンコを使用する。同時に、印鑑証明書も提示・提出することになるので用意する。
書類が改竄されないようにするのがこの製本の目的だから、がっちり製本しなければならない、てなことではない。つまり、そんなに金をかける必要性はないってこと。
- 数枚の書類を、ホッチキスで2〜3箇所左とじにする。
- 契約書割印用製本テープを張る。
- 押印する。
以上で完成。もし大事に保存しておきたと考えるなら、各自勝手に好きなカバーでもこさえてやればいい。とりあえずこの費用、自分でやったとしては以下の通り。
- 無料ソフトで書類を作る。
- 作成する文書をプリントアウトする。
- ホッチキスで1部づつまとめる。
- 製本テープを張って完成。
どう見繕っても、1部1000円以下、専門機関に比べると桁が1つ少ない勘定になる。ただ、実費はそれほどかからないけど、労力だけはかかるから、中途挫折しないようにがんばって頂きたい。
署名・押印の前に、金融機関や法務局に遺産分割協議書を持参し、この内容で手続が可能かどうか聞きに行くのもいい。もし不備があればちゃんと教えてくれるし、署名・押印してからの不備は取り返しがつかなくなるから注意したい。
議事録の保存
遺産分割協議の結果、相続分内容は上記の協議書で確認できるが、それに至った経緯を知ることができない。この場合は、遺産分割協議書とは別に、協議議事録を必ず保存する様にする。議事録を残す事により、言った言わない論争勃発を防ぐ事が可能だ。何か問題が生じた時は、この議事録が大事な資料となってくる。遺産分割協議書と同様に製本し、共同相続人から署名・押印して頂き、証書として保管するのがベターだろう。
7. 無事に終了、解散。
作成した主な書類
- 相続人代表関連の同意書、委任状。
- 財産目録。
- 相続関係図 (系図) 。
- 遺産 (共有財産) の収支報告。
- 遺産分割協議書。
- 請求書、精算書。
- 遺産分割協議議事録。
取得した主な書類
- 被相続人の謄本類。
- 共同相続人の謄本類。
- 共同相続人の印鑑証明書。
- 全部事項証明書等、不動産関連書類。
作成した書類は1部づつ、自分で保管しておこう。銀行用と相続登記用に作成した遺産分割協議書や、手続で必要だった印鑑証明書や相続人の謄本類は、相続人に処理を判断してもらえばいい。保管してくれ、と言われたら保管してあげればいい。
相続人それぞれに遺産が分割されたら、とりあえず終了だ。新たな遺産、特に負の遺産が出てこないように祈りながら、被相続人の供養をしてあげよう。
8. 手続を終えてみて…
書類の膨大さ
遺産分割協議を進めていく中、相続人に対し報告書・資料を協議前に毎回郵送していた。これは、前回協議の内容、合意事項の確認と、次回協議の議題等の報告だ。協議当日に書類を渡したのでは、確認するのに時間が掛かる事と、議題に対しての事前確認が行えない不具合が生じた。これを回避する為に、事前に郵送ということになった。議事録に沿った報告書により、合意事項の確認が確実に行なえるようになり、言った言わない論議はほぼ無くなった事が嬉しい。
ただ、これには経費が掛かることを忘れてはいけない。今回行った相続手続は、相続人が10人を越えていた。単純に考えて頂きたい。
- 報告書の内容が A4用紙5枚 / 1人 だとした場合、×10人分 が必要になる。
- 郵送するのであるから、郵送代が必要になる。
少なくとも、毎回これだけの消耗品が出てくることになる。用紙は再生紙を使用すればコストはかなり抑えられ、それほど気になる出費にはならない。が、印刷代はそうもいかない。家庭用の複合機等で印刷を行なう場合、インク代がどれくらい掛かるか恐らく想像つかないだろう。まあ、やってみればわかるが、例えばA4用紙500枚前後でインクはヤマになる感じだった。添付する資料の内容にもよるが、収支報告書を作成した時は、それだけでインクを2セット使った。相続人の数が多ければ多いほど、必要な経費も多くなるってことだ。
で、最後に遺産分割協議書を作成したわけだが、6. 遺産分割協議書を作成する。 で述べた通り、金融機関毎、相続登記用、全記載と協議書を作成した。つまり、金融機関2社に対し計2通、相続登記用に1通、全記載を10通作成ということになる。
実はこれだけでは終わらない予定だった。遺産分割協議書には、分割内容は記載されるが、その経緯については記載されていない。そういった経緯を記録した証書の様な物を作成し、後々トラブルが起きない様にという話になった。しかしながら、実際に作成しようとしたが、1部が約42ページ (単純に、HTML作成でブラウザ印刷機能を使用した場合) 、他に添付資料が約50部あった。これを10人分である。印刷代も馬鹿にならないが、その前に印刷機そのものがいかれてしまいそうな気がする。最終的には相続人から、金が掛かるならいらない、とのことで、証書は作成しなかった。
問題がなければそれでよし
協議毎、作成提出していた書類が、遺産分割協議全体の証書という形にもなるので、こちらとしては特に問題なく一連の事務処理を終えた。感想を述べるとすれば、事務的な処理に関しては、決められた手順で行なっていけば素人でも進めて行かれると悟った。逆に、相続人同士の感情的なぶつかり合いに関しては、何も出来ず仕舞いであった。
相続人以外、色んな人が相続手続に携わってくれたが、毎回、協議場所と食事の用意をしてくれた家族には感謝したい。店屋物であっても、そこに手作りの味噌汁が加わっただけで、何となく場が和やかになるもので、日本海の味は格別なものでもあった。
しっかり請求した
今回、相続手続のお手伝いをしたわけだが、書類作成実費分はもちろんのこと、働いた分、としてもしっかり請求を行なった。働いた分で請求した金額は13ヶ月で約50万円、高いか安いかは相続人が考えればいいでしょう。
例えば、被相続人の謄本類を全て取得する為に、朝自宅を出て、夕刻に帰宅、交通手段は自家用車で1人工。又、相続関係図作成一式で1人工、などなど。最初は相続人達もニコニコ顔で承認していたが、最後の方はまだ請求するか!顔に変貌していたw
きっと、高かったんだね(*^m^)